グランドピアノがある家に生まれてたら

めちゃくちゃムカつくな
理不尽なこととか多すぎるだろ、世の中。
世の中?(ウケた)
せいぜい私の知ってる世界なんてほんまにちょっとのところやん。

他ではもっとおもしろいこととか、会ったことない人間がいるの悔しすぎんか?
なんで身体はひとつだけなんやろ。脳みそも、感情も。
わたし以外のわたしがどこかで楽しくやってるなら、この怒りもおさまるけど、そうじゃないやん。死んでまた生き返りたい、何度も生き返りたい、生き残りたい。


バイト中、作業をするじぶんの手を見ていたら不思議な気持ちになった。肘から手先まで、忙しなく動く自分の一部を見ていたら自分じゃないような気がした。クソみたいな労働させやがって、なんて頭で言ってるのに、意に反して動く身体がまるで自分じゃなくてロボットみたいだった。たまに宇宙人に操作されてる妄想をする、妄想じゃなくてもそんなかんじ。
宇宙人が地球人を操っていて、発展の手伝いをさせられている妄想。そのうち、何もかも乗っ取られてみんな死ぬ。死ね!


バカに雇われてることもバカみたいに思えてきた。わたしよりクソみたいな人間が、理不尽な理由や、わけのわからんことで人のこと顎で使っていて、そんなのいいわけないだろ、ばかか。


わたしの脳内を見透かしているのか、仕事中小さな子どもと目が合った。子どもに笑いかけると走って逃げてしまった。愛想笑いだということもバレたらしい。ちょっと後ろめたいきもちになる。


バイトが終わって店長に「辞めます」と伝えようとしたのに、避けられてしまった。人づてに私が辞めるということを聞いたらしく、そのとき「辞められると困るから次の人が見つかるまでは」なんていっていたらしい。辞める意志を伝えようとしていることが分かってからか、あからさまに避けられているので、今日も何も言えずに帰った。クソ雇用は終わらせるにも時間がかかる…


アルバイト終わりは、何となくコーヒーを飲みにコメダ珈琲に入った。煙草を吸いながら考え事をしようとしたけれど、店内のBGMがとても良かったのでペンを持つ手が止まった。考え事をするのをやめて、絵を描きながらBGMをきいていたら小一時間経過していたので店を出た。

帰路、誰かの家の2階の部屋が暖色の明かりで照らされていて部屋の中が見えた。小さなピアノが置いてあって、白いレースのカーテンがかかっていた。ピアノがある家に生まれたかった、ピアノを習いたすぎて友達に「ピアノの習い事をしている」と嘘をついたこともある。翌日か、翌々日か、その嘘が噂になり母親の耳に入ったとき叱られて悔しくて部屋で泣いたことを思いだし、そのときの匂いがして顔が歪んだ。

ぶつぶつ独り言をいいながら家に帰り、アパートの階段を登っていたとき「どこに帰ってきたんだろう」、とかんがえた。よく帰る場所に迷う時があるけど、多分ここで合ってた。

グランドピアノがない小さな家で合ってた。ここがわたしの帰る場所だった。生まれ変わったら白いレースのカーテンがついている。







m世

くそをくそで洗い流す

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